「雅樹ー、そろそろ戻らないと……雅樹?」


「え、ああ……戻ろうか」



思わず考え込んでいて、片付けを終えた亜紀が近づいてきたことに気付かなかった。




「……雅樹、なんか変だよ? どうしたの?」



そう言われても、お前を守れない自分を悔いていた、なんて正直には言えない。



「なんでもねえよ」



ぶっきらぼうにそう言い放つと、俺は病院の方へと歩き出す。


続いて亜紀の足音も聞こえてきて、それがなんだか嬉しかった。