「……憧れ、ね。そりゃどうも、ありがとう」



全然嬉しそうじゃない久遠君の言葉に、私はむっとした。



「……あの、入院って……病気、なんですか?」



病気……その単語を聞いた瞬間、久遠君の表情が凍りついた。

同時に室内の空気も張りつめて、すごくいづらい雰囲気。



「もう、テニスはしないよ。できないから」



それだけ言うと、久遠君は窓の外を眺め始めた。