病室には、母さんが持ってきた花が置かれた。


身のまわりの物とか、全部が運び込まれる……それは、俺がずっとここにいることを示しているかのようだった。


周囲は、俺の入院という現実に確実に対応してる……ただ俺だけが、取り残されて。






「もう二度と、前のように動くことはできなくなる」

「治療法は、少しずつ発見されている」

「大丈夫、きっと良くなるよ」




……良くなって、何になるんだよ。



生きられたところで、テニスができなけりゃ意味ねえよ。




前のようには動けない? ふざけんな。


俺は、俺には……。





俺にとっては、テニスしかねえんだよ。