切なそうに俯く彼を見て、私は何も言えずにいた。
「でも、泣かないで。今は少し会えないだけ。“さよなら”じゃなくて“またね”をしただけだから」
「また、ね?」
「うん。また、会えるから」
「ほん……と?」
「本当。あ、迎えに来てくれたみたいだよ。君のお母さん」
「あ、」
少年の言う通り、母の姿が見えた。
「僕等も“またね”しないとね」
「また、あえるの?」
「嗚呼、会えるさ。またね」
「またね、」
そう言った瞬間はっとして、周りを見渡したけど、少年の姿は何処にも無く、公園だと思っていた所は、大きな木が1本立っているだけの、只の芝生だった。
不思議に思いながらも、迎えに来てくれた母と家へ帰ろうとした時だった。

