その日の夜、散葉は夢を見た。


遠い遠い、昔の記憶の夢を。


―――――――


「う、ひっく……」


私は、日が今にも沈んでしまいそうな時間帯に1人、公園に来ていて。


そして、しゃがみ込んで泣いていた。


その日、家に帰ると、ペットの犬が死んでしまっていて……


私は、大切なものを失う事が初めてだったから、目の前の死に向かい合えずに、家を飛び出した。


母が私を、呼び止める声が聞こえた気がしたが、その時の私には、聞く耳を持つ事が出来なかった。