「えっと、女の子の方が、宝城 梨乃(ホウジョウ リノ)さんで、男の子の方が、天宮 紘(アマミヤ ヒロ)くん、だったかな」


「そっか!ありがとう」


(宝城さんに、天宮くんか……)


仲良くなれるかな、と散葉は不安を抱えながらも、期待を膨らませていた。


―――――――


事が起こったのは放課後だった。


「散葉さん」


今まで休み時間の合間さえも、全く声を掛けてこなかった梨乃が、放課後になった途端、話し掛けてきた。


「あ……えっと、宝城さん、」


「はは、梨乃でいいです」


にこっと微笑んで言う梨乃。