俺はもしかしたら

その日は俺の二十三歳の誕生日だった。十二月三日。寒い冬の日だった。空からは雪がちらついていた。俺は会社に出かける準備をしていたときに、ふとカレンダーが目に入った。十二月三日に何か赤い文字。何だったろう?

少し考えて俺はある重要なことに気がついた。顔から血の気が引いていくのがわかった。

「しまった!今日は早朝会議だ!あと二十分で始まる!」 
早朝会議。俺の勤める会社で半年に一回行われる会議だ。この会議ではここ半年で気がついたことや反省点を述べ合う。いわば、やる気を確かめる会議だ。つまり、遅れたりなんかしたら。クビとまではいかないだろうが、会社からの風当たりはきっと厳しくなるだろう。信頼もなくしてしまう。

「普段こまめに会議をしていない分、こういった一回の会議がかなり重要になってくる。遅れたらどうなるか。気をつけろ」
急いで準備しながら上司がそういっていたのを思い出してさらにあせった。会社までは自転車で走って十分。会議はあと十五分で始まる。急がなくては。

 俺は服をすばやく着替え、食事はもちろん食べずに家を飛び出した。今までうまくやってきたのに、こんなところで信頼をなくすのはごめんだ。絶対に間に合わせる。