少し考えると記憶がフラッシュバックした。

冷たい風。

目眩がして信号を無視したこと。

そしてはねられたこと。紅く染まる雪に救急隊員の声。



あぁ。そうだ。俺、死んだんだった。




血が出ているはずであろう頭を触ってみたが、どこにも傷は見つからず一滴の血も流れてはいない。でも、そういうものなのだろうな。


きっとここは、もう俺のいた世界じゃないのだから。



俺は、このままどこへ行くのか?



地獄か?天国か?



というかそもそもここにいるまま、もうどこにもいけないのか?
 



俺は再び寝転んだ。目の前には底の無い闇が広がっている。その闇は俺の心を明るみに照らした。そして思い出す。俺が死ぬ寸前に思ったこと。