暗闇で声がする。

「ねぇ、あなただれ?」

俺?和田一真って言うんだ。

「ねぇ、あなたほんとに和田一真なの?」

そうだよ。ほかに何がある?

「あなたが和田一真?」

君は?だれ?

「本当に来てくれた」

何の話?ここはどこ?

「そんなことも忘れてしまったの?」

だって俺、君なんて知らないよ。

「私のこと知らないの?あんなに仲良しだったのに」

うん。知らないよ。

「じゃあ、約束のこともきっと知らないのね」

うん。分からない。

「じゃあ、きっとこのことも知らないのね?」

どのこと?

「私は、この世の人間じゃないの」

だろうな。だって俺もたった今死んだから。

「あら、そうなの?でも何故、私は死んだと思う?」

俺と同じ交通事故。

「違うわ」

病気?

「はずれ」

まさか、自殺?

「惜しいわね」

じゃあ、殺された?

「正解」

そうなのか。可哀想に。俺たち、同じ日に死んだんだ。

「そうね。当たっているわ。でも、当たっているけど誤解もある」

なぜ?何が?

「当たりの中に誤解はつき物よ」

誤解?

「私はね、あなたに」