俺は

俊稀をゆっくりと

抱きかかえた。

俺の両手は

徐々に

緋色に染まっていく。




「俊稀…?」




目の前の

信じたくない真実。

状況が分かってるくせに

俺はまるで

「どうしたの?」

とでも言うような口調で、

そう言った。



ぐったりとして動かない。

しかしこの静かな部屋には、

コイツの浅く

苦しそうな呼吸が

響き続ける。




「た、担架呼びなさいっ‼‼‼」




俺がこんな

どうでも良いことを

考えているうちに、

悠真さんは

叫んでいた。