暗くて見えなかったが、

男の手には金属の棒ような何か…。




―――今、ここら辺で多発している

    傷害事件が、目の前で起こった。




女は悲鳴を上げる間もなく

地面に鈍い音を立てて倒れこみ、

動かない。




「うわっ、けっ、けけ

 警察っ‼‼」



「う、うん!

 今ボタン押してるっ…‼‼‼」




俊稀の携帯から聞こえる、

ピコピコとうるさいプッシュ音。



マナーモードにしてる

暇なんてないから

音の出てくるところを

俺が指で塞いで、

2人の体で画面の光を遮った。