「すご~い!温泉街だぁ」 「スゲー!柚香、露天風呂入ろうぜ」 「入る!入る!」 バスで1時間。 私たちが着いた場所は、山が近くに見える温泉街。 旅館が立ち並ぶ側には、お土産屋もあり、浴衣姿の人がチラホラいた。 「私、初めて来た。こんな温泉街」 「オレも。ちょっと、興奮するじゃん」 バスの中の気まずい空気なんて、いつの間にかすっ飛んでる。 「柚香、宿に行こう」 大地に手掴まれ、小走りで旅館へ向かった。