すると奈緒子は、

えっ!?

雄志に近付き背中をそっと抱きしめた。


「雄志、我慢しなくていいよ・・・?
私の前では我慢しないで・・・」


奈緒子・・・


奈緒子は雄志の頬に自分の頬を重ね、
雄志の体をギュッと抱きしめた。


奈緒子のぬくもりが感じる、
やさしく、俺をつつみ込んで込んでくるような
懐かしいぬくもりを・・・


「奈緒子・・・」


奈緒子はやさしく微笑んでいる。


「ううっ・・・」


俺はもう堪え切れなかった。


ずっと我慢していた気持ちが、
誰にも言えず心に閉まってきた感情が、
張り詰めていた糸が切れたように
雄志の目から涙がこぼれ落ちた。


雄志は自分の体にまわされた奈緒子の腕をギュッと掴んだ。