放課後。
ホームルームも終わり、みんなが教室を出ていく。

「神谷くん!」

私は帰ろうとする神谷翔を呼び止めた。

「君は……森居さん?」

自信が無いような声で聞いてきた。

私はクラスでも目立たない方だ。
名前を覚えていないのもしょうがない。

ましては48歳のおっさんなら尚更だ。

私は満面の笑みで答えた。

「そうよ。ちょっと話があるから残ってもらえる?」

「えっ?まぁ、いいよ」

あっさりと承諾。

「本当!?ありがとう!私、掃除当番だからちょっと待っててね」