そっと触れた唇を
離すのが惜しかった。


「絢佳…。さっきの奴…。
どっか行ってたのか…?」

「あ…。雅司?
同級生でね。夕飯ご馳走して
貰ってたの」


「二人で…?」

「うん?そうだよ…?」

「それだけ…?」

「ん…?あっ!!あと…
落ち込んでるからって…
バイクで走りまわってくれた…」


何も悪気のなさそうな
絢佳の表情に
少し苛立ったが、ギュッと抱き締めて
小さな声で呟いた。

(…絢佳は……俺のだし…)



「慎吾…クン?それだけだよ?」

「…ぉう……。」