La Cherie 【最愛の人】


部屋に入ると絢佳を背中から
抱き締めた。

「無事で良かった…。」

「慎吾クン…ありがとね…。」

「でも、なんで大地に
付いてった…?」

「慎吾クンと別れてから、
コテージに戻ったんだけど…
気付いたら寝ちゃっててね。
外にでたら大地さんが…
みんなの所に連れてってくれるって…」


蘭に言われてか…。

「…にしても 途中で
降ろされたのか?」

………………。
絢佳は何も言わない。


身体を振り向かせて
正面を向いたが 目を合わせようとしない。


そっと口付けしたら…
鉄の味がした。


「…絢佳?唇…切ったのか?」