「ななちゃんのお家は何してるの?」
秀さんが無邪気な顔で、そんなことを尋ねてくる。
……今の凄まじい話の後で、私の家のこと話すの?
「……普通のサラリーマンと専業主婦の家計です。一般的な家庭ですみません……。」
「別に謝らなくていいよ~。きっと素敵なお父さんとお母さんなんだろうね~。」
「どうしてそう思うんですか?」
「だって、ななちゃん、こんなにかわいいし、真っ直ぐだし。それに、僕がななちゃんと出逢えたのもななちゃんのお父さんとお母さんのおかげだからね。」
「……そうかもな。俺もお前みたいな家庭で育ってればよかったのかもしれないな。」
「……慎哉?」
私は秀の言葉に、暗い表情を浮かべた慎哉が少し気にかかった。
「なんでもない。ほら、Black Moonに着いた。」
「わーい。ななちゃん、水着買いに行こ?」
私は後ろ髪をひかれながらも、秀さんに手を引っ張られて店の中へ入った。


