キスの真似事をしてるうちにりおがそいつらのどちらかを意識してしまったらどうしてくれるんだ。



「奏さんが観にきてくれたらうれしいな」

「わかった。日曜日でもな」

「ほんと?」


応えた途端りおの表情がパアッと明るくなった。


「ホントに来てくれるの?」

「ああ」

「やったあ、文化祭楽しみになってきちゃった」


お茶をふうふうしながら嬉しそうにしてるりおを見てるとそんなふうに考えてモヤモヤしている自分がなんだか複雑だ。


練習も気になる。
本番も気になる。
イトヨーに買い物三人で行くっていうのも気になる。

りおのことで気にならないことなどひとつもない。


それなのにこの俺がりおを手放したくないばかりにいい兄貴のような接し方をしてしまう。


「好きだ」と言ったら、きっとりおは―――