ふーん、まさかその王子たちとキスするシーンっつうのがあるわけじゃねえだろうな?
「やだなぁ、奏さん。キスシーンあるに決まってるじゃない」
「は?」
口にくわえていたタバコを落とした。
慌てて拾う。
「でもね、あくまでもキスするふりをするだけだよ。本当にキスしたりはしないって。それに第一わたしとキスしたいなんていう物好きは現れないから」
クスクスって笑って俺を見る。
―――キス?
たとえキスしなくてもキスするふりだなんてふざけんな。
りおに近い男だっていうふたりの男の名を聞いただけでも頭に来るのにキス?
とんでもねえ。
ふざけんな。
ムッとしたがそれをりおの前で出したらりおが驚くからやめて置く。
りおは俺の気持ちには気づいていない。
榊や仁、毅、前広、その他もろもろ大勢が気づいているのにひとりだけ気づかない。



