イトヨーの中で、りおの姿を見つけるのは簡単だった。
白いレースのワンピースでポニーテール。
他の誰よりも可愛い。
「あ、奏さん」
俺に気が付くとパアッと明るい笑顔で手を振り返した。
「仁さんも一緒ね」
見ると、男ふたりが買ったばかりの荷物を手にしていた。
「ドレス買ったのか?」
「それはこれからだよ。今買ったのはスタッフTシャツ十枚。ドレスはふたり分買うの。わたしの分と台本変えてもらって育子の分もね」
ってことは…
「わたしは樹の相手役」
気にはなっていたが、やはり樹という名前が引っ掛かる。
ドレスも樹のためなんだと思うと握った拳に力が入る。
「若、おい」
仁に肩を叩かれて我に帰る。
「奏さんに似合いそうなカジュアルシャツを見つけたから買っちゃったの」
見て。
りおが肩に担いでいた紙袋の中身を見せた。



