「買い物なんだからいいじゃねえか。その途中でもしも偶然にりおさんに会ったとしても買い物なんだし」
「………」
「邪魔したわけでもないしな」
「………」
「たまにはイトヨーにも入ってみようぜ」
「………」
な?
仁は勝手にそう決めると、携帯電話を開き、「車を停めろ」と掛けると駐車場に毅が乗っていた車を停めさせた。
「たまにはイトヨーもいいじゃんか」
毅の隣に仁が車を置けばいいと促す。
「若、行くぞ」
「ったく、強引なやつだな」
「毅、お前はどうする?」
「わたしは車に悪戯されないようにここに残ります」
「わかった」
毅を車に残して仁とふたりイトヨーの中へと入る。
「Tシャツを買うって言ってたな。あとドレスもだな」
「イトヨーにドレス売ってるテナントはあるのか?」
「さあ?」
イトヨーに入った記憶は遥か遠い昔だ。よくわからねぇ。



