『若恋』若の嫉妬【完】

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「榊、おまえは俺が女遊びをやめてどう思った?」


一階の榊の部屋を訪ねて酒を煽る。



毎晩、違う女を抱いて。
毎晩、快楽吐精するだけの行為。

女は自分の欲望を満たし、自分のステイタスだけのために俺に抱かれようとする。


それも悪くなかった。

特別に女が嫌いなわけじゃない。



「別にいいんじゃないでしょうかね?わたしは今の若が好きですよ」


向かいのソファーに腰掛けて同じく酒を飲んでいる横顔はふたりで一本空けてもケロリとしている。


「わたしは好きですけどね。自分よりも大事なひとができて人間臭くて、見てて楽しいんですよ」


「楽しいのか?」


「楽しいですよ、まるで少年の頃の初めての恋を見てるみたいで。全神経がりおさんに向いてるのがね」