「冗談はやめてくださいよっ!!
クリーニング代出します!おいくらぐらいなんですか?」

早くこの場を切り抜けてゆーっくりジュースを飲みたかった。
というよりも、この先輩から逃げたかった。
さっきからジーッとあたしのこと見てくる。
そんな切れ長の瞳で見ないでください。


「このシャツ高いからなぁ」

え~今月まじでピンチなんですよ。もう小銭しか財布には残ってないんですよ。


「おいくらなんですか?今700円しかもってないんで、ピンチなんですよ」

あっ、セレブな先輩に金欠状態を話してしまったYO!
バカにされる!!


そう思って持ってた700円を先輩の手にムリやりもたせて、一目散に逃げ出した。
わぁぁぁあ!っと心の中で叫んだ
なんだか十数分の出来事だったけど、すっごく長く感じた。



教室に駆け込んだときは息も絶え絶えで、


「アンタ、そんなにハァハァいってどうしたの?」

教室に入るなりかなり息切れしてるあたしに驚いた茉莉に、今あった出来事を説明した。


「アンタ危なく毒牙にかかるとこだったね。あの魔王の餌食にされたら、泣いて捨てられるのが落ちだよ。」


「てか、あんな冗談に振り回されてたまるかっつーの」

思いっきり叫んだら

「何の冗談?」

同じクラスの櫻井翔太(さくらいしょうた)が後ろに立ってて結構びっくりした。


「それがさぁさっき、あのタラシ先輩に会ったんだよね」

「おぉ新先輩か!」

「翔太知ってんの?」

「俺の中学の先輩なんだ」

「へぇ。やっぱ中学のころからあんなんなんでしょ」

「まぁな。あのころは今よりもっと荒れてたけど」

「ふーん」

そんなのんきな話してたら、チャイムがなった。