「おばさん、南は?」


病室から出てきたおばさんに、



あたしは聞いた。





おばさんは静かに俯きながら首を振った。




隣にいる悠季君も下を向いていた。






南に、一体何があったのだろう。





この約1週間。





何も口にしていないのだろうか。




だとしたら、お腹は空いている筈。




なのに、なにも食べない南。



それどころか、口を開かない。



喋らないのだ。





「あたしは、今日ここに泊まるわ。要ちゃんたちは夜も遅いしもう帰って」



優しく、でも哀しく微笑むおばさ。




そんな顔を見るとなにも言えなかった。



「要ちゃん、悠季さん、本当にありがとう」


病院を出る際、おばさんはあたしたちにそう言った。