「坂田麻弥さーん」
「んじゃお先に。」
「うぃ。」
麻弥が呼ばれた。案の定、麻弥は廊下側だった。
「おいっ!松田!ちょっ来い」
麻弥が呼ばれたとたんに、あたしを呼ぶ男がいる。この声は…やっぱり。教室の隅の方で手招きしてやがる。
「ナニ?タウエ。」
タウエとは入学してから、ずっと同じクラスだ。今回のクラス替えが最後だから6年間一緒という事になる。4クラスもあるというのに何でだろう。タウエとは家も近所だ。ホント腐れ縁だな。
「なぁ、坂田とオマエ仲いいんだろ。坂田って好きな奴いんの?」
「はぁ?なんで、あんたに言わないといけないわけ。知ってても言わねーよ。」
「ちょっ俺が知りたいわけじゃなくて聞いてくれって頼まれてんだよ。なぁ教えろ。」
そんな事は嘘だとすぐわかる。お前が好きなんだろう。どうせ…
「タウエ。」
「ん?誰だ。言え。」
「お前じゃない事だけは、確かだ。」
「お前さぁ、その性格絶対なおしたがいいぞ。そんなんだからモテないんだろ。坂田を見習え!」
「うっせ、バーカ!」
そんなんタウエに言われなくても、わかっている。やけに男友達が多いのも、考えものだなと最近思う。この口の悪さ親父似だ。