「……冴慧」

あたしは驚いた声をあげる彼に少しずつ近づいた

「なんか用?」

あたしを冷たく睨み付ける那智

そんなこと構わず無言で近づくあたし

「……なんだよ」

あたしが何も言わないから那智の声のトーンがますますさがる

那智の側までいってようやく口を開く

「陣から聞いた それに絢架からも」

「……。」

「なんでそんなことしたのよ あたしは那智が……

「お前なんか勘違いしてね?」

那智があたしの言葉を遮った

「冷めたって言ったろ?お前とかあいつらが考えてるような理由で冴慧と別れたんじゃねーよ」

「那智……」

「うざいんだよ 冴慧は」

那智はあたしから目をそらした

悲しそうな顔で
つらそうな顔で

もう一度強く言った


「うざいんだよ………」


あたしは那智の学ランを両手で掴んで思いきり引っ張った


――ちゅ


「……っ」

ガバッと身体を離す那智

あたしはそんな那智に微笑みかけた

迷いはなかったし
後悔したくない

伝えるって決めたの

嫌われてもいい


「好き」

那智は目を見開きながらあたしを見ている

「遊びでいい 嫌われてていい それでもあたし那智が好き」