「あたしっ……」
勢いよく立ち上がった
「あたし……行ってくる」
「冴慧……」
波美ははにかむような笑顔を見せた
気づけば運動場で部活をはじめている人々
いつの間にか授業が終わっていた
「ありがとね 波美」
あたしは屋上から降りていこうとした
早くしないと陣が帰っちゃう
「南波君なら………」
「え?」
「南波君ならたぶん…もう教室にはいないと思うよ 他に心当たりがあるわけじゃないんだけど
いま冴慧に会いたくないだろうから」
「ありがと」
あたしは波美に笑顔をむけて階段をかけ降りた
下駄箱にまだ靴がある
他の教室
学習室
図書室
保健室
あたしは息を切らしながらあちこちを探した
「馬鹿陣……どこにいんのよ」
「冴慧?」
キョロキョロしているとばったり杏とあった
「どうしたの?そんなにあわてて」
「あのね……」
あたしは言葉を濁した
杏に『陣のこと探してます』なんて言える立場じゃないし
「ちょっと……人探ししてて」
「そうなんだ…」
「急いでるから…またね」
「もしかして陣のこと探してる?」
その場から離れようとしたあたしを杏が呼び止めた
「陣なら……生徒会室だと思うよ」



