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真っ直ぐあたしの目を見て断言した口調で言う波美

「好きになりはじめてたんでしょ?南波君のこと 那智君と付き合いはじめる前から」

あたしは唇にギュッと力を入れた

「それ………」

波美はあたしのポケットを指さす

「ピアス 南波君のなんでしょ?蓮君が言ってた」

「……。」

「お守りなんでしょ?冴慧 授業中とかいつも見てるし」

あたしはポケットからピアスを取り出した

波美…
そのこと知っててあたしには何も言わなかったんだ


「あたしはさ……冴慧の生き方まで否定する気はないし 一途なのはすごくいいことだと思うよ?」

波美は長い髪をかき上げた

空を仰ぐ

あたしは俯きピアスを見つめたまま固まる

「でもさぁ……」

そして波美はあたしの顔をのぞき込みながら言った

「最初に好きになった人だけをずっーっと好きでいなきゃいけないって思っちゃだめでしょ」


笑顔

「………波美」


パン

とあたしの心の中で何かが弾けるような音がした

突っかかっていた何かが取れたような気がした

波美の言葉の1つ1つががあたしの背中を優しくだけど強く押してくれた


あたしは…………

あたしは陣のことが好き

好きになりはじめてたんだ