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陣は前をむいたまま続けた

「俺だってさ……杏を利用した だから冴慧の気持ちわかんなくもねぇよ?でもさ…………」

陣は振り返った

「お前と那智が別れたのチャンスだって思ってるし 今だって………冴慧の言葉1つに期待しちまうんだよ」

あたしは掴んでいた手を離した

陣はそれ以上何も言わずに屋上からさっていった



「………なによ」

あたしは小さく呟いた

陣……あたしのこと忘れるために杏と付き合ってたんだ

あたしのために………か


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「畜生……」


言いたいことは言った

冴慧に気持ちは伝えた

言いたくないことは隠した

那智がまだ冴慧のこと好きだって言えなかった


「畜生……」

なにやってんだよ俺……

そんなに冴慧が好きかよ

そんなに好かれたいのかよ

怒りをロッカーにぶちまけた

「荒れてるね 南波君」

「………綾瀬」

振り返ると壁にもたれかかりながら俺を見ている綾瀬の姿があった

「冴慧は?南波君のとこ行ったんでしょ?」

「………お前には関係ねぇだろ」

綾瀬の言葉を無視して歩き始めようとした

「……逃げるんだ」

足を止めずに綾瀬から離れていった

「そうやってあたしからも冴慧からも逃げるんだ」