夜は短し、登れよ乙女!



「へぇ…それで?」


「うん?」


「測れたの?」


わかっていてそれを聞くのか。

測れるわけ、ないのに。


「できなかった」


「どうして?」


「肩車してくれる王子さまがいなかったから」


大真面目に答えたのに何故か男の子は俯いた。

震える肩は考えなくてもわかる。


笑 っ て る !



「ぷっ…くく……」


声までも漏れ出した。これは確実に爆笑だ。

きっと心の中では腹を抱えて笑い転げているんだ。


……想像はできないけど。


綺麗な顔は笑うと更に可愛さを増す。

いや、男の子なんだから可愛いは間違ってるかもしれないけど。

でも、笑われているのに、怒る気も起きないほど、綺麗で。


見とれてしまったんだ。