「お姫さまだったのか…」


思わずそう呟くと、女の子は微かに笑って振り向いた。


「お姫さまになるには僕には要らないモノがついてるから」


形の良い、薄い唇から発せられた言葉は、本当にそこから出たのかと疑いたくなるほど。


「男の子…?」


「そうだよ」


中性的な顔立ちでは性別は判断できないし、長い髪は女の子みたいだったけれど本人が言うのなら男の子なんだろう。


「こんな所で何してるの?」


「休憩中ー」


こんな屋根の上で?


「変わってるね」


他人のこと言えるのか。

しかし少年は気にした様子もなく話しかける。


「君は?」


「あたし?」


何をしていたかと問われると、

「星までの距離を測ってた」


最初の目的はそれだった。