「なっ...」


「ありがとう...」


「.....」


なぎさちゃんはおとなしくなった


「ごめんね...?たくさん傷つけて...あたしは中途半端だったから...」


「...いいから。離して。あなたが抱き締めたいのはあたしじゃなくて遼平でしょ?早く行ってあげてよ。絶対アイツ、待ちくたびれてるから」


「...うん!!!!」


なぎさちゃんを離してあたしはまた走った


「はぁ...」


なぎさちゃんは長い溜息を走り去るあたしの背中についた


「遼平があの子に惚れる理由もよく分かる...」


またこれもあたしにはまったく届くわけなかった


「遼平!!!」


教室の中に入ると、男の子が1人


窓際に立ってグラウンドを眺めてる


「遼平じゃ...ない...?」


男の子が振り返った


メガネをかけた...遼平だった


「どうしてメガネ...?」


「梓が走ってくるとこ、見てた」


「えっ!?」


いつの間に!?


全然気づかなかった...


走るのに必死過ぎた...


遼平の顔は穏やかで、ちょっとカッコよかった