「梓の口癖って、要らない、だな」


「...へ...?」


「本当は思ってないくせして...梓はずっと何も要らないって言ってるだろ?本当は要るくせに」


「....」


恵吾さんはあたしの頭を撫でてくれる


「無理すんなよ」


「....」


あたしは何も言わずにただ涙を流し続ける


自然と止まるまで、ずっと


「梓、お前を必要としてる奴が居るように、お前にだって必要してる奴が居るんだよ」


居ない...そんなの...


そうは思いつつ、遼平の笑顔が、


あのムカつく笑顔が、頭から離れない


「言わなきゃ得られないものんだってあんだよ。だから梓、本当の気持ち、全部言えばいいんだよ」


「あたし...遼平が好き...」


「ほれ、言えんじゃん」


恵吾さんを見上げれば、笑ってる


「その気持ち、言えばいいんだよ。好きって、大好きって、そばに居てって。言えばいいんだよ」


「ん...」


恵吾さんにつられてあたしも笑った


そうじゃん


あたし、何をビビってんの?


ビビることなんか、なんもないじゃん!!!


「梓は何も怖がることなんかねえんだよ。もし梓を傷つけるような奴が居たら俺がぶっ飛ばしてやっから。多分誠人も同じなんじゃねえ?アイツも梓を好いてるし」


...うざ男にもちょっとだけ感謝しよう