「あ、やっと帰って来た?」
「っ!?」
ビクッとした
誰も居ないはずの家なのに...
あたしはゆっくりと振り返った
笑ってる顔を見てホッとした
「恵吾さん...どうして居るんですか?」
勝手にコーヒーを飲みながらリラックスしてる恵吾さんがソファに座ってた
「んー、なんとなく?」
「意味分かんないです。お帰りください」
「えー。別にいいじゃんー。チューハイ買ってきたからさ」
テーブルの上を指差す恵吾さん
たしかにコンビニ袋の中にはチューハイ
だけど...
「今は飲む気分じゃないです」
「つれねえなー」
恵吾さんは立ち上がってコップを洗う
「あ、ここにあった洗い物、全部洗っといたから」
「えっ...」
たしかに綺麗に片づけてある...
「梓、女なんだからさ...もっときれいにしておけよ」
「別に...女だからって関係ないじゃないですか」
「...なんかあったか?」
「えっ...」
恵吾さんの瞳があたしを捉えてる
「梓の瞳が、泣いてる」
「...そんなこと、ありませんよ」