君を愛する

　修二は微笑みながらそう言ってくれた。
「そうかな？　ごく普通の家だと思うけどな」
　私が照れながら言ったところで秀が歌い終わった。そして次の曲が流れ始めた。
「修二、次はお前の番だよな？　この曲は修二の十八番なんだよな」
　秀はマイクを渡しながらそう言った。
「おう、サンキュ。最初から本気出すぜ」
　そう言って修二は歌い始めた。やっぱり修二は歌うのが上手だな、と思い聞き惚れてしまった。
　そしてその後も皆で歌い続けて、カラオケボックスを出る頃には夜遅くになっていた。
「こんなに歌ったのは久しぶりだな。なぁ、皆この後どうするの？」
　秀が皆に問いかけてきた。私はこれから修二と喫茶店に行くことを話そうとしたが、修二が先に話し始めた。
「俺はこれから彩香と喫茶店に行くんだ。美咲たちはもう帰るんだろ？」
「マジかよ。俺も混ぜろよ」
「だめだ。今日は彩香と二人でゆっくり話したいんだ。それに、秀とは飽きるほど毎日話しているだろ。これ以上お前と何を話せって言うんだよ」
　修二にそう言われると、秀はガッカリした顔をした。そんな秀の姿を見てクスッと笑ってしまった。
「じゃあ、里穂の家に寄っていく？　このまま解散しても後味悪いし。皆寄っていくでしょ？」
「良いね。里穂はやっぱり俺の女神だ。大好きだよ、里穂」
「はいはい、分かったから。いちいち抱きつかないの。美咲と愛恵も来るでしょ？」
　里穂は秀のことを離しながら美咲と愛恵に聞いた。
「たまには秀と二人きりで遊べば？」
　美咲は嫌みっぽく言った。里穂は少し考え込んだ。
「秀と二人きりか。たまには良いかもね。美咲と愛恵は良いの？」
「大丈夫だよ。私たちも喫茶店かどっかに寄っていくから」
　ある程度皆の話がまとまったところで修二が話してきた。
「じゃあ、今日はここで皆とお別れだな。後、美咲たちは俺らと一緒の喫茶店に間違っても来るなよ」
　修二は笑いながら忠告した。そして私たちはいつも行っている喫茶店へ向かった。
「今日は楽しかったね。修二ってやっぱり歌上手いよね」
「ああ、皆で集まるのも久しぶりだしな。俺は歌うことが唯一のストレス発散法だからな。自然と上手くなるよ」
　私たちは他愛のない話をしながら喫茶店に着いた。修二は店に入り席に座ると同時にメニューを取り出した。