君を愛する

「じゃあ、彩香。俺は学校に行ってくるから、安静にしとくんだぞ」
「分かってるって」彩香は玄関で修二のことを見送って、修二は家から出る間際私に軽くキスをしてくれた。
「じゃあ、行ってくる」修二は学校へ向かった。
 修二が学校に行ってから、私は親が運転する車で家まで帰った。家に着き、自分の部屋に戻ってベッドで横になっていた。皆が学校に行っている間は、私ひとりだから本当に暇を持て余している。お腹が大きくなってきているから外出をできるだけ控え、漫画を読んだりテレビを見たり、携帯をいじったりして時間を潰していた。
 そんな毎日が続き、出産予定日が近づいてきた二月。ある日、修二が彩香の家に訪れてきた。
「彩香、あともう少しで出産予定日だな。あと一、二週間くらいか?」
「あと十日くらいかな。上手くいけば、バレンタインデーの日に産まれるかもしれないってお医者さんが言ってた」
「バレンタインデーに産まれると、何かロマンチックだな」修二は微笑みながら彩香のお腹に手をやった。
「お腹にいる赤ちゃんね、私のお腹を蹴ってくるの。毎日赤ちゃんは元気よく動いてるの。もしかしたら、こんなに元気が良かったら男の子かもしれないね」
 私たちは産む前から性別とかを調べずに、生まれた時に性別が分かった方が、性別がどっちであれ喜びが倍増すると話し合っていたので、最低限の検査しかしていなかった。そのため、どっちが産まれても大丈夫なように名前は男の子と女の子の名前を決め、ベビー用品も男の子用と女の子用を揃えた。
「どっちが産まれても嬉しいけどな。まあ、男の子の方が外で一緒に遊べるし、やっぱり男の子の方が良いかな」
「男の子だったら、きっと美男になるね」
「じゃあ女の子だったら、きっと美女だな」二人はそんな何でもない話でも、大笑いをした。
 彩香は低年齢出産になるため、帝王切開の可能性もあるということで、念のために出産予定日の一週間前から入院した。
「彩香。皆と一緒にお見舞いに来たぞ。おばさん、大したものじゃないけど彩香に食べさせてください」
 それは豪華な果物の盛り合わせだった。それに、彩香の大好きな果物ばかりだった。
「あら、わざわざ良かったのに。こんな豪勢な果物の盛り合わせだったら、高かっただろうに」