君を愛する

てきた。
「修二の隣に座りなよ。カラオケこそ接近できるチャンスだよ。私も彩香の隣に座るから、それなら心強いでしょ?」
 美咲はこういうところでよく心配りができるから、美咲はモテたりするのかなと思う。私は小声で、「ありがとう」と呟いて修二の隣に座った。私が座った後、美咲は私の隣に座ってくれた。
「とりあえず飲み物頼もうよ。皆何飲む?」
 里穂がメニューを見ながら言った。その問いかけに秀が食いついた。
「飲み物といったら、やっぱりカレーでしょ」
 秀が言ったダジャレに場の空気は一瞬凍りついた。それと同時に秀には全員の冷たい視線が送られた。
「秀、お前頭大丈夫か? 最近の秀のダジャレ、どんどんクオリティが低くなってるぞ」
 修二が呆れ顔でそう言った。秀はそんな冷たい視線を送らないでくれよ、と言わんばかりの顔をしている。
「まあ、毎日飽きなくて良いんじゃない? 今思うと秀のおかげで毎日笑ってるような気がする」
 里穂が微笑みながら言った。秀は一気に笑顔が戻った。
「もう最近は里穂くらいしかそういうこと言ってくれないよ。修二は薄情者だしな。里穂、ありがとー」秀はそう言いながら里穂に抱きついた。
「ほら、そんなことでいちいち抱きつかないでよ。秀のことは皆がよく知ってるから。秀がいなきゃ、皆を笑わせてくれる人がいないんだから」
「まあな。皆小・中学校から一緒に連んでる奴らなんだから、お互いによく知ってる。ここにいる皆が秀のことをちゃんと認めてるから、安心しろ」
 秀は目頭を押さえていた。今にも泣きだしそうな感じだった。
「おい、次は泣き上戸か。ここで男泣きはやめてくれよ」
 修二は笑いながらおちょくった。それにつられて皆も笑った。そう、秀のおかげで皆はどうでもいいことでも笑えていられているんだと改めて思う。
「さ、早く飲み物決めちゃおうよ」
 愛恵に促され、飲み物を決め始めた。皆一通り頼むものを決め注文をし終えると、早速秀が歌い始めた。秀が歌っている間、修二が私に話をかけてきた。