君を愛する

そう言い残し、親父は自分の部屋に戻っていった。修二はそのおじさんに再び深々と頭を下げた。
 そして、次は彩香の両親に挨拶をするため家を出た。彩香の家に着くと、居間の方からおばさんがやってきた。
「あら、修二君。お久しぶりね」
「御無沙汰しています」修二は軽く会釈をした。
「お母さん、今日は大切な話があるの。お父さんもいるかな?」
「大切な話? お父さんは自分の部屋にいるわ」
「じゃあ、お父さんのこと居間に呼んできてくれないかな。二人一緒に話ときたいから」
「分かったわ」おばさんは何かを感じ取ったのか、何も聞かずに二階へ上がっていった。
 彩香と修二は先に居間へ向かうと、ソファに座った。少しすると、彩香の両親が一緒に居間へときた。
「修二君、君と会うのは久しぶりだな」おじさんは笑いながら言った。
「御無沙汰しています。おじさんも相変わらず陽気な方ですね」修二は冗談交じりで言った。
「それより、彩香。修二君も連れてきて大切な話って何だ?」煙草を銜えながら聞いてきた。
私が答えようとすると、修二が先に喋りだした。
「おじさん、彩香さんと結婚をさせてください」修二は床に手を付き、土下座して力強く言った。
「修二君、頭を上げたまえ。私は修二君のことをよく知っている。君は誠実な男だ。しかし、いきなりそう言われても彩香と修二君はまだ高校生だろ。そう簡単にそうですかと言って結婚を許すと思うのか」お父さんは落ち着いた声で言ったが、内心は驚いただろう。
「あと、もう一つ言わなければならない話があります。実は、彩香さんのお腹に赤ちゃんが宿っています」修二は緊張した声でそう言って、それと同時にお父さんの眉に皺が寄った。
「赤ちゃん? それは本当に言ってるのか?」
「はい。今八週目だそうです。お父さん、彩香さんとの結婚を許してください。俺は彩香に赤ちゃんを産ませてやりたいと思ってるんです」
 お父さんは煙草の火を灰皿でもみ消し、眉に皺を寄せたまま考え込んだ。