君を愛する

 そう言われた修二は、手を離し「ああ」と短く答えた。
 そして、女の部屋に入ると一人の男がすでにいた。見覚えがある顔だ、と思いながらも部屋に入っていった。
「さあ、早速カメラを渡してもらおうか。俺らは喧嘩をしに来たわけじゃない、素直に渡してくれると有り難い」
「そうはいかない。私は、あの日以来ずっと修二のことを恨んできた。だから、少しでも仕返ししようと思って彩香のことを襲ったんだ、そう簡単にカメラは渡せない」
「そうか」そう言って、修二は女の首を締め上げて鋏を取り上げた。そして、女の髪をバサバサと切りだしてしまった。
「秀、その男もボコボコにして良いぞ。力付くでカメラの場所を聞き出せ」修二がそう言った途端に、秀は男に殴りかかった。
「おい、あの男と一緒の運命を辿りたいか? 俺は女でも容赦はしない」修二は短くなった女の髪を掴みながら、女の耳元で囁いた。
「分かった。カメラを渡すから、許して」女は急に青ざめた顔をして、焦りながら言い始めた。
「最初からそうしてれば良いんだよ」修二はそう言いながら、女の腹を殴りつけた。女は咳き込みながら倒れ込んだ。
「早くたてよ」女の髪を掴み無理やり立たせ、カメラを出させた。
「このカメラは俺らがちゃんと処分する。これ以上彩香に手を出したら、これで済むと思うなよ。今度は人身売買でも何でもやってやるからな。覚悟しとけ」
 修二がそう言うと、女はさらに顔が青ざめた。少し震えているようにも見えた。ここまで怖い修二を見るのは初めてかもしれない、と秀も少しゾッとした。
「分かったから、もう帰って。もうカメラも渡したし用事は終わったでしょ」
「ああ、帰らせてもらうよ。秀、もう帰るぞ」そう言って二人は家を出た。
「修二、あの程度で済ませて良かったのか? あいつらまた絶対何か仕出かすぞ」
「良いんだよ。とりあえずカメラは回収したし、写真が出回ることは無いだろう。あとは、あいつらが噂を流さないことを願うしかない」
 修二はそう力強く言って、自転車で走り出した。秀も「ああ」と答え、修二の後についていった。
 彩香の家の前に着くと、再び二人は深く深呼吸をした。
「秀、今までのことを彩香の前では絶対顔に出すなよ」そう小声で呟き、家に入っていった。