体育館についた。

少しずつ、少しずつ裏へと向かう。

意を決して覗いた時、あたしは自分の目を疑った。


「…!せ、先輩!」

先輩は何かを囁く。

「誰かに見られたら…!」

「ここには誰もいないよ。」

また何かを囁く先輩と、
頷く真っ赤な顔の海。

「…海ちゃんの話も、俺の話も、二人だけの秘密。分かった?」

頷いた海の頭を撫でる先輩。


全て理解した。

苦しくて、悲しくて、とても辛かった。

昇降口でうずくまると、堰を切ったように涙があふれてきた。