「その男の子にあげようと思っていたものも、実は持ち歩いているんです。」

「へぇ、どんなものなの?」

「これです。」

それは青い砂がはいった星の砂のキーホルダーだった。

「これを空にかざすと海と空、どっちも見えるんです。」

海ちゃんも男の子に覚えていて欲しかったのかな。
男の子が海ちゃんに忘れないでと言ったように。

「その男の子のこと、まだ好きなの?」

「…はい。」

胸にズキっと鈍い痛みがはしる。

海ちゃんは男の子を忘れていないんだから、分かっていた事だけどね。

どうやら俺は、名前も知らない男の子に嫉妬しているみたいだ。

「…!せ、先輩!」