一年が来たのか、結んだ手紙を開く音がする。

俺は構わず本を読み続ける。

「『俺は上だ。そこに座られると邪魔だからだ』…上って誰?」

全部声に出す必要は無いと思う。

「…あ、椿さん?」

はぁ?
椿の木が手紙を書いたと思ったのか?

思わず、次のページへの手が止まる。

「ごめんなさい。
木の下にいたら邪魔だよね。」

…しかし、言っている事はあながち間違いではない。

木の下ではなく木の向かい側に座り、一年は話始めた。

「教科書がよく無くなるんだ。
帰りは先輩達が転ばしてくるから…私、早く帰れないの。これはこの前の傷。」

一年の足元に目を向けると、示された場所に大きなかさぶたが見えた。