「どうしたの?」

待ち合わせ場所にはもう先輩がいた。

「あ、先輩、早いですね。」

「俺も今来たとこ。…携帯、水月ちゃんから?」

「はい、遅れるから先に回っててって言ってました。」

「そっか…ん?何か聞こえないか?」


「ママ…どこぉ?」

それは、女の子が泣きながらお母さんを探す声だった。

先輩は女の子の前でしゃがんだ。

「どうしたの?お母さんとはぐれたの?かな」

あ、今の先輩、王子様キャラだ。

「うん…。」

「そっか…お名前は?」

「さつき…6さい…。」

女の子が泣きながら答える。