「ねえ、お母さん、これ大丈夫?」

白い花が描かれた青い浴衣。

私の好きな色。

「大丈夫だから。しつこい。」

しつこいって…酷い。

「ほら、ふてくされてないで、早くいきなさい。」

「はーい。」

だんだんにぎやかな声に近づいてるのが分かって、ワクワクする。


うーん、やっぱり浴衣に草履だと、走りにくい。


まだ時間はあるけど、小走りで待ち合わせ場所に向かう。

「あれ、水月からだ…もしもし?」


『もしもし!海、ごめんね!今ちょっと用事あって遅れるから、先回ってて!ついたら連絡する!』

水月は早口でそう言った。