何があったのか知らないが、陸は正門を見てすぐ帰った。

だから、今日は本を借りた後、読むふりをして陸の話を無視しなくてもよかった。

その分通常より早く下校出来る。
毎日早ければ、俺も家でゆっくり本が読めるな…。

もしくは帰るふりをして、何処か見つからないような別の場所で本を読むか。

俺はそんなことを考えていたら、いつもとは違う道を通っていた。

昔よく遊びに行った場所を通る道…いつもは通らないだった。

懐かしい気持ちとともに、複雑な気持ちになる。

…久々にここを通ったんだがな。

一瞬だけ草むらの方に目を向けた。
遠く離れたところで仲良く話をしている男女がいる。

俺は昔のことを思い出す。


四つ葉のクローバーを一生懸命探してた女の子…。

あの子は…今も変わらない笑顔で、誰かに笑いかけているのだろうか。

そんなことを考えてしまった自分が馬鹿馬鹿しくなった。

ここは、まだ通るべきじゃなかった…。

何も考えたくなくて、空を見上げる。

昔と変わらない奇麗な青空だった。