黙って海岸を見ていた椿さんは、
髪の毛が邪魔だったらしく、手でかきあげる。

その仕草に少しドキッとした。

私の視線が泳いで、また海岸を見る。

「…冬に変わらないものは、ずっと変わらない。」

椿さんは、私の行動なんて全く気にも止めてないような声で、そう言った。
自然と椿さんに視線を戻す。

「変わらないものが分かるから、冬は好きだ。」

椿さんは海岸を見たまま話していた。

「海も空も、荒れたりするけど基本的には変わらない。」

椿さんがこちらを向いた。

「だから好きだ。」


変わらないもの、変わらない想い。

絶対なんてない、いつかは変わる…そう思いつつ、椿さんが変わらないものを大切にしてること。

この一ヶ月で知った。