「…好きです。」

耳を疑った。

「今、好きなのは、椿さんです。」

空耳じゃ…ない。

「…伝えないで終わるのは嫌で…それだけ。」

俺の制服から手が離れる。

さっきから…俺は一体何をやっているんだろう。

「ふっ…ははっ」

「え?」

あぁ…馬鹿だ。

…俺は馬鹿だ。

振り向くと涙の後を残したまま、困惑している姿があった。

「えっと…意味がよく…わっ」

そのまま抱きしめる。

「俺が…空だ。」


知らないだろう、海。

知らないうちに再開していたこと。
そしてその後、俺が何をしたか。

それでも好きだと、君なら言ってくれるのかもしれない。

だけど、今はまだ…。