「…僕って言って…頬にキスしてた。」

これが一番効いたのかな。

「海は昔から男子に好かれてたので、男除けでした。」

「男除け?」


「いつも男女だと言われました。
あたしも男みたいだと自覚してました。
でも、女らしくなる気はなくて、どうせ男子に間違われるんだったら、彼氏のフリして、海を守ろうと思ってたんです。」

「海を守る…か。」

「空先輩も誤解したので、どの位効果があるのか、よく分かるでしょう?」

空先輩は口をキュッと閉じて、黙った。

「あの時の事は…今まで海を見ていた男の子の中で一番かっこよかったので、ちょっとだけ覚えていました。」

そう、かっこよかったからこそ、頬にキスなんかして、ちょっと強めにアピールしたんだ。

海はもちろん、嫌がってたはず。

「あたしは、まさか遠くに引っ越した海の初恋の相手が来るとは思ってませんでした。」

ただ、近付いた男子に、
海には好きな人がいる!
って、牽制しただけだったんだ。