「一回海の底に沈んで頭冷やせば?」

「入水しろって意味か。」

俺が海ちゃんから聞いたことで、予想はあるが嘘は一つもない。

「嘘だと言うなら、そうするべきだろう?」

「…酷いな。」

「酷いのはお前だ!なんで疑う!
お前だってたまに『空』を見上げてるだろ!海ちゃんを想って!」

「…!」

「椿さんなんて、いつもの空が面倒だって言いそうなことやって。
昔も今も、好きなんだろ!」

思わず掴みかかったから、空の顔が露わになる。

「離せ。」

空が睨みながら俺の手を掴み、振り払う。

いとも簡単に俺の手が外れる。

「…北野のことは、好きじゃない。」

そう言って、前髪を元に戻した。