「もう一度ちゃんと聞くけど、
さっきいた人は陸先輩でしょ?」

水月の質問に頷く。

「でも、何で知ってるの?」

「知ってるも何も、
新入生歓迎会の時からずーっと、
噂の有名人だよ?」

「え?」

噂の有名人?

「カッコいいし、スポーツ万能だし。
勉強も学年十番以内。
男女問わずにみんなの人気者。
完璧な微笑みにファンが続出して、
女子から影で
『王子様!陸様!』
…なんて呼ばれてる。」

…初耳。

というか、水月、
今、王子様と陸様と言う所だけ思い切り楽しんで演じてた気がする。

「そんなに有名人だったんだ…。」

「知らなかったんでしょ。」

「うん。まだ入学したばかりだし、きっと、私みたいな人もいるよ。」

「周りの話聞かないだけでしょ…ほら。」

私は水月が指差した方を見た。